こんにちは、イカPOです。
脳卒中後の肩関節は、筋緊張の低下や支持不足によって亜脱臼が起こりやすい部位です。臨床では「肩関節の亜脱臼に装具を使うなら?」と聞かれることも多く、代表的なものにオモニューレクサがあります。ただし、他にも選択肢があるので、今回はオモニューレクサの特徴と肩装具が歩容に与える影響を報告した論文、さらに他の製品2種類をあわせて紹介してみます。
オモニューレクサ プラスとその特徴

肩関節の亜脱臼に対する装具といえば、この装具がまず思い浮かぶでしょう。
オモニューレクサ プラスは亜脱臼になりやすい脳卒中後の肩関節を懸垂して保護するための装具です。
基本的な役割
- 上腕骨頭を求心位に保持し、痛みの発生を防ぐことが期待できる
- 前腕カフを連結して上肢の自然な肢位を誘導し、歩行時の過度な腕振れを抑制
- 装着肢を外旋・肘屈曲・前腕回外位に保持
- 上腕カフ・前腕カフのシリコーンテープで重量を均等に懸垂
- ベルトやバックルで微調整・着脱が容易
補足(公式情報より)
- 素材と快適性:TriTech素材(3層構造)で通気性と柔軟性に優れる。肩周囲のシリコーンパッドが固有感覚を刺激し、フィット感を高める。
- サイズ展開:XXS~XLまで幅広く対応(胸囲71〜118cm)。
- 装着のしやすさ:ループ状ベルトやバックルで片手操作が可能。リハ進行に伴い自己装着も目指せる。
- メンテナンス性:手洗い洗濯が可能で衛生的。
公式サイトのリンク
https://www.ottobock.com/ja-jp/orthotic/upper/shoulder/omo_neurexa
公式カタログ
肩装具と歩容の改善について
「肩装具は歩行にどのような影響を与えるのか?」という点については、いくつかの研究報告があります。
Arnaoutis et al., 2025(クロスオーバー試験, 26名, サブアキュート期)
- 装具装着により Functional Reach Test(FRT)、Timed Up and Go(TUG)、Four-Square Step Test(mFSST) がいずれも有意に改善(p<0.05)。
- ➡ 肩装具は 立位バランスや歩行の安定性を高める可能性 があると報告されています。
👉 リンク(MDPI, 2025)
大橋, 2018(日本, 重度麻痺患者)
- 装具装着により 遊脚期に麻痺側骨盤の挙上が有意に増加。
- これにより 歩行リズムが安定し、つまずき防止や歩容改善につながると示されています。
👉 J-STAGE論文リンク
これらの研究からは、肩装具が歩行やバランスに対して「効きそうだな」という結果が出ています。
ただし対象人数が少なかったり、その場での即時的な効果しか見ていなかったりと制約も多いんですよね。なので「標準的に歩容改善のために使える」とまでは言えないのが正直なところ。
要は、絶対に有効だから全員に使おう!という段階ではまだない、というふう理解しています。
オモニューレクサプラス以外の肩装具
オモニューレクサプラス以外にも、いくつかの製品が臨床で使われています。
リングショルダーブレース(アドバンフィット)

- 立体裁断による高い適合性とリング構造で正常肢位へ矯正
- 上肢の動きを妨げないため、歩行時にも腕振りを維持
- 片手で装着できる構造
👉 製品ページ
SGO肩装具システム(アドバンフィット)

- オリジナル形状のショルダーリング+動滑車機構により、肩甲帯を適正位置に誘導
- 翼状肩甲の防止・亜脱臼軽減に効果
- 上腕サポートで重量を懸垂し、疼痛の緩和や不良姿勢の改善をサポート
- パーツの組み合わせで機能拡張が可能
👉 オモニューレクサ同様、前腕懸垂の仕組みを持つ
👉 製品ページ
まとめ
脳卒中後の肩関節亜脱臼に対する装具としては、オモニューレクサが最も代表的ですが、他にもリングショルダーブレースやSGO肩装具システムといった製品があります。
肩装具の使用がバランス改善や歩容の安定につながる可能性も示されており、単に亜脱臼を防ぐだけでなく、歩行リハビリ全体を支える役割があることを報告した研究もあります。
一方で、オモニューレクサは装着がやや難しく、練習が必要になる点も無視できません。使いこなすまでに時間がかかるものの、その分効果を発揮できる装具でもあります。

