こんにちは、イカPOです。
今回は、義足ユーザーの皆さんにとって切実な悩みである「断端(足)の太さの変化」と、それに対応するための「便利なツール」についてお話しします。
義足を長く快適に使い続けるためには、ユーザーさんご自身での「適合管理(セルフマネジメント)」が不可欠です。今回の記事が、そのヒントになれば幸いです。
なぜ、自分で調整する必要があるの?
断端の状態は常に一定ではありません。日々、変化しています。 「お酒を飲んだ翌朝、むくんで義足が入らない……」なんて話も、よくお聞きします。
その他、よくある断端の変化としては、主に以下の3つが挙げられます。
- 日内変動: 朝と夕方で断端の太さが変わる。
- 体調や体重の変化: シンプルに体が痩せて、ソケットが合わなくなる。
- 術後経過: 切断から日が浅く、日々断端が細くなっていく。
「痛いな」「調子が悪いな」と思ったその瞬間、義肢装具士が調整できればベストですが、自宅に義肢装具士がいるケースはまずありません。
すぐに義肢装具士に連絡をしたとしても、お互いのスケジュールを調整し、実際にお会いして調整するまでには、どうしても数日間の「タイムラグ」が生じます。
だからこそ、自分の足を守るために「ある程度の調整は自分でできるようになる」ことが、とても大切です。
そこで今回は、そんな「自分でできる調整」を助けてくれる、おすすめのツールを4つ紹介します。 すべて公費(完成用部品)の範囲なのも嬉しいポイントです。
断端の周径調整:太さが変わった時の対応

まずは、日内変動や痩せによって「ソケットが緩くなった時」に役立つツールです。
1. 断端袋(ソックス)
義足調整の基本となるのが「断端袋」です。 ソケットが緩い時は、これを履いてボリュームを増やし、足の痩せに対応します。1枚で足りない時は「重ね履き」で調整を行ってください。 薄手と厚手があり、「薄手+厚手」や「厚手2枚」など、その日の足の状態に合わせて組み合わせましょう。
調整の目安と交換時期
断端袋の調整限界に教科書的な基準はありませんが、私は「厚手2枚以上」必要なら交換をお勧めしています。 それは適合が良くないサインです。厚手3枚になると、余程の事がない限り「作り変えましょう」とお声がけします。
種類と注意点

断端袋は厚手・薄手の他、ライナー用やインサート用など種類も様々です。穴開きタイプはピン式に対応しています。 ピン式を使う際は、袋をしっかり引き上げてください。たるんでロックに噛み込むと、義足が抜けなくなるトラブルになります。装着は丁寧に行いましょう。
部分的な痩せには「ハーフソックス」

断端末(足の先)だけ痩せることもあります。
普通の袋だと「先は合うけど上がキツイ」…
そんな時は田沢製作所の「ハーフソックス」です。断端末のボリュームを足せる優れものです。
2. ウィローウッド社 アルファ ボリュームマネージメントパッド

足が痩せた時には、ウィローウッドの「ボリュームマネージメントパッド」も有効です。 ライナーの内側に貼るプルプルのゲルで、下腿の後面などに貼って隙間を埋めます。 1袋3サイズ入りで、公費(完成用部品)の対象です。変化が激しい訓練用義足の時期に使うと、ソケット適合を長く維持できて便利です。その後も使えるのでお勧めです。
断端末を保護するアイテム
次は、断端の先(断端末)の骨が当たって痛い時や、組織が薄くなってしまった時に役立つ保護ツールです。
3. 中村ブレイス ゲルマット

断端末の保護なら、中村ブレイスの「ゲルマット」があります。 軟質シリコーン製で、骨が当たる痛みを和らげ、ソケット内の吸いつき(陰圧)も防ぎます。ライナーでもインサートでも使えて、洗えるので清潔です。こちらも公費(完成用部品)対象なのが嬉しいポイントです。
選べる種類

ゲルマットは「ノーマル・ソフト・スーパーソフト」の3つの硬さから選べます。サイズは断端末の直径で合わせますが、もし既製品が合わなくても大丈夫。断端にピッタリフィットさせる「特注」も製作可能です。
推奨されるケース
使用推奨シーンとしては、軟部組織が痩せて骨が浮き出たり、断端が短くなった時などが挙げられます。最初から骨が目立つ場合は、型取り(採型)の段階でライナー内に仕込んで作ることもあります。痛みの予防にぜひ活用してください。
4. オズール社 Iceross® ディスタルカップ

オズールの「ディスタルカップ」も断端末保護に便利です。 シリコーン製で、同社のIceross®ライナーと相性抜群です(メーカー談)。
これを装着した状態で採寸すると、より正確なライナーサイズが選べます。
まとめ
義足のソケット適合を維持するためのツールを紹介しました。
繰り返しになりますが、私たちPOが常にそばにいられない以上、日々の細かな変化に対応できるのは、義足を使っているユーザーさんご自身だけです。
「なんだか今日は緩いな」「ちょっと骨が当たって痛いな」 そう感じた時に、今回紹介したようなツールを使ってサッと対応できれば、トラブルを未然に防ぐことができます。
今回紹介した製品は、健康保険や補装具費の範囲内で使用可能です(もちろん自費購入もOK)。 使ってみたいと思ったときは、ぜひ担当のPOさんに相談してみてくださいね。
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