背屈フリー・底屈制限の定番!タマラック継手の特徴と適応、代用評価法、評価用装具について

こんにちは、イカPOです。 臨床で「底屈を制限しつつ、背屈はフリーにしたい」と考えたとき、第一選択候補となるのがタマラック継手です。

混同されがちですが、タマラックは装具の名称ではなく、足継手パーツの名称です。「タマラックの装具」とは、タマラック継手を組み込んだプラスチック短下肢装具(シューホン型)を指します。

この記事では、タマラック継手の機能的特性と適応判断のポイント、評価用装具の詳細仕様まで、現場で必要な情報に絞って解説します。


タマラック継手とは?:仕様と基本構造

タマラック継手有

タマラック(Becker 740 Tamarack Flexure Joint)は、ウレタン製の足継手です。

  • 基本仕様: 背屈方向はほぼ遊動(フリー)ですが、素材の特性上、わずかに制動がかかります。
  • 構造: ジレット継手と似ていますが、継手中心部に「高強度インナーフィラメント」という補強が入っているのが特徴です。
  • 設置: 生理的足関節軸に近い位置に配置が可能です。
  • 底屈制限: 継手自体に底屈を制限する機能はありません。 モーションコントロールリミッターやスナップストップなど、別途底屈をコントロールするパーツを取り付けて使用します。
  • オプション: 背屈補助機能を選択できるモデルも存在します。

用語(固定・遊動・制限・制動・補助)の解説はこちら: [短下肢装具]足継手の基本まとめ|装具選択に役立つ5つの機能


背屈フリーと底屈固定の利点、注意点

底屈を制限し、背屈を遊動(フリー)に設定することで、足関節を完全に固定した装具(リジットなシューホンブレイスなど)と比較して以下の利点が得られます。

歩行への影響

  • 踵接地(IC)の改善: 立脚初期に踵から接地しやすくなり、足底接地の解消につながります。
  • スムーズな重心移動: アンクルロッカーが再現されるため、前進動作が円滑になります。
  • クリアランスの確保: 底屈を制限することで、遊脚期のつま先の引っかかり(躓き)を防ぎます。

ADL(日常生活動作)への影響

  • 立ち上がり動作: 椅子から立つ際、装着側の足を後方へ引けるため、立ち上がりやすくなります。

タマラック継手の利点は?:実務的な視点からの考察

タマラックとジレットの大きな違いは、補強があるかないか。子供用サイズがあるかないか。機能に大きな差はない。

プラスチック製短下肢装具に使用される足継手には、タマラック、ジレット、オクラホマなど多くの種類があります。これらを比較した際、現時点では「タマラック単独の際立った利点」はないと考えています。

競合する他の継手との決定的な差を示すデータも見当たりません。「底屈制限・背屈フリー」という目的を叶える点では、必要な機能を有した継手であれば、どの製品を選んでも結果に大きな差は生まれないというのが私の認識です。

状況に応じた選定の目安

あえて製品ごとの特性を考慮して選定するならば、以下の基準が一つの指標となります。

  • 大人用で新規作成: タマラック
  • 子供用で新規作成: ジレット(子供病院で開発された背景があり、サイズが充実)
  • 内外反が強く、プラスチックの横方向の撓みを抑制したい: オクラホマ

選定の結論

大切なのは「どのパーツか」という名称よりも、足関節の何をコントロール(制限・遊動・制動など)させたいかを明確にすることです。その目的を達成できる継手を選択する際、タマラックはオーソドックスな選択肢の一つと言えます。


生活環境・注意点(金属支柱付き短下肢装具との比較)

今度は金属支柱付き短下肢装具と比較した場合の、メリットとデメリットを整理します。

生活環境におけるメリット

  • 圧倒的な軽量性: 金属支柱付きに比べて軽く、足の振り出しが楽になります。
  • 靴の選択肢: 市販の靴が履きやすいため、屋内外の両方で同じ装具を使用しやすい利点があります。

注意点(弱点)

  • 矯正力の限界: 金属支柱付きと比較すると、内外反に対する矯正力は劣ります。
  • 尖足への対応: 尖足への対応力(角度の調整幅)も金属支柱付きに軍配が上がります。

タマラックの利点について、情報をお持ちの方へ

タマラックの利点について、もし独自のメリットやデータをお持ちの方がいれば、ぜひ教えてください。私自身の学習不足である可能性も十分にあるため、厳しいご意見や詳細な情報をお待ちしております。

よく聞かれるタマラックとジレットの違いについての記事はこちら。

オクラホマの解説もある記事はこちら


タマラックの適応について考察

タマラック継手付きシューホン(底屈固定・背屈遊動)の主な適応は以下の通りです。

  • 膝伸展筋力があり、膝折れ傾向がない
  • わずかに背屈可動域がある
  • 軽度~中度の尖足、および軽度の内外反

内反尖足が強い場合、プラスチック自体がたわんでしまい、想定した効果が出ないばかりか外果等に痛みが出るリスクがあります。強力な矯正力が必要な場合は、金属支柱付き装具が適している場合があります。


タマラックを試す方法は?:評価用装具がない時の代用評価

評価用装具が手元にない場合でも、備品のリジットなシューホン(SHB)があれば、背屈フリーの適応を擬似的に評価できます。

1. 使用する装具の条件

  • セミフレキシブル以上の剛性を持つシューホンブレイス(底屈制限を再現するため): プラスチックが内果・外果を半分程度覆っており、足継手部分の剛性が高いデザインのシューホンブレイスを使用してください。

シューホンブレイスのトリミングラインについての解説は別の記事で

2. 評価手順

  1. 通常通り装具を装着し、足関節ストラップと足甲ベルトはしっかり締める。
  2. 下腿部のベルトのみ、限界まで緩める。(下腿の前傾を一定のレベルで止めるため)

3. 評価のメカニズムと判断基準

  • メカニズム: 底屈はプラスチックの剛性で制限し、背屈(下腿前傾)はベルトの遊びで許容します。
  • 適応あり: 下腿前傾がスムーズになり、歩幅の延長や反張膝の軽減が見られる。
  • 適応外: 下腿の前方崩れ(膝折れ傾向)が生じる、または本人が不安定感を訴える。

※膝折れのリスクがあるため、必ず介助下や平行棒内などの安全な環境で実施してください。


評価用の装具を購入することはできるのか?

タマラックを既製品化した評価用装具が、パシフィックサプライから販売されています。

評価用装具の主な仕様

サイズはS・M・Lの3サイズ展開です。

  • Sサイズ: 足長22cm、高さ32cm(主に女性向け)
  • Mサイズ: 足長24cm、高さ35cm(男女共用)
  • Lサイズ: 足長27cm、高さ37cm(主に男性向け)

評価用タマラックの底屈制御は?

この評価用装具の底屈の制限には、オットーボック社の「スナップストップ(17S1)」が採用されています。(写真に基づいた個人的な判断なので、詳細はメーカーに必ず確認をとってください)

スナップストップ
オットーボック公式サイトから引用
  • 17S1は、内部のバンパーを交換することで底屈・背屈の角度を変更でき、初期背屈角度の設定評価も可能です。
  • ただし、交換用バンパーが標準で付属しているとの記載はないため、調整が必要な場合は別途バンパーを購入する必要があります。

評価用装具(パシフィックサプライ)公式ページ

パシフィックサプライ公式サイトから引用

その他の種類・セット販売等:他の種類はこちらセット販売はこちら


まとめ

今回はタマラック継手付きプラスチック装具の機能や適応、評価方法について解説しました。今回の内容を整理します。

  • タマラック継手の役割: タマラックは継手パーツの名称であり、背屈フリー・底屈制限の設定によってアンクルロッカーを再現し、円滑な前進動作や足を引いての立ち上がりを助けます。
  • パーツごとの検討: タマラック、ジレット、オクラホマの間で機能に決定的な差を示すデータは見当たりませんが、大人用・子供用といったサイズ展開や、内外反の強さに応じたプラスチックの撓み抑制を考慮して種類を検討します。
  • 適応の判断基準: 膝伸展筋力や背屈可動域の状態を確認し、矯正力が不足する強い内反尖足などには金属支柱付き装具も考慮に入れます。
  • 現場での評価: 評価用装具が手元にない場合でも、備品のシューホンブレイスの下腿ベルトを緩める手法で、背屈フリーの効果を擬似的に確認することが可能です。

この記事の内容が、現場での継手選定の役に立てば幸いです。それではまた。

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