義肢装具の論文検索をAIで自動化!ディープリサーチによる膝継手SPEXの効果と適応を調査【コピペ用プロンプト付】

こんにちは、イカPOです。

義肢装具の情報収集って、本当に苦労しませんか? ネットで検索しても専門的な情報が少なかったり、そもそも参考になる書籍がなかったり……。日々の臨床の合間に、正直、自力で情報を探すのは骨が折れます。

しかし、AIの「ディープリサーチ機能」を使えばその負担がかなり軽減されます。

 隙間時間にAIに依頼しておくだけで、情報を収集してくれる時代が到来しています。あとは、それをどこかで読むだけです。

今回は、Geminiのディープリサーチ機能を使って、実際に「SPEX膝継手」の情報を収集してみました。本記事では、その具体的な調査結果と、AIを使ったリサーチの手順をわかりやすく共有します。

さらに記事の後半には、SPEXに限らず、他の足継手や装具の調査にもそのままコピペで使える「汎用プロンプト(AIへの指示書)」もご用意しました! ぜひこの記事を参考に、AIを使って毎日の情報収集をラクにしてみてください。

そもそもDeep Research(ディープリサーチ)とは何か?

Deep Research(ディープリサーチ)は調査プランの立案から実際の調査、分析、報告レポート作成の全プロセスを、生成AIが代わりに自動でおこなう機能です。ChatGPTやGeminiなどの生成AIに搭載されており、「調査特化型のAIエージェント」とも言われています。

ユーザーの代わりに数百ものウェブサイトを自動的に参照します。Geminiの場合、ネットの情報だけでなく、許可を出せばGmail、ドライブ、Chatなども参照し、得られた結果を分析して、複数のページで構成される分析情報のレポートを数分で作成してくれます。

参考:Gemini Deep Research 概要

ざっくりといえば、すごく高度で高機能なネット検索かつ調べた内容もまとめてくれる機能です。 用途としては、ビジネス・マーケティング分野(業界トレンド、競合分析、市場調査など)において実用的な分析結果を出すことや、「論文の検索など、1つの分野について徹底的にネットで調査したい!」という時に使用します。

Deep Researchの能力は現時点で、コンサルティング会社の新人クラスの能力を遥かに超えています。このこともあって、ホワイトカラーのエントリークラスの仕事がなくなって求人が減るなどの現象が起きるなど、世の中を変えるクラスの力を持った機能だったりします。

参考:AI普及による「新卒就職氷河期」の到来に関する考察

どうやって使うのか?

使い方はシンプルで、AIに対して「役割」「調査対象」「検索のヒント(キーワード)」「出力形式」を明確にしたプロンプト(指示書)を入力するだけです。

特に専門性の高い義肢装具の分野では、日本語だけでなく英語の専門用語も指定してあげると、情報精度がグッと上がります。

有料?無料?

無料で使用できます。

Geminiの場合、回数制限の範囲内なら無料の枠でも使用できます。

課金すると回数制限が大幅に増えるので、頻繁に使用する場合はGoogle AI PlusやGoogle AI Proプランへの加入も検討しましょう。

2026年3月時点の料金 ・Google AI Plus:月額1,200円 ・Google AI Pro:月額2,900円

初月無料や、2か月半額など定期的にキャンペーンをやっているので、キャンペーン期間中にお試し加入してみましょう。

ちなみに私はGoogle AI Proプランに加入しています。

参考:Google AI プランの料金

SPEX膝継手を使用した症例報告や臨床経過、SPEX膝継手の効果についてディープリサーチを使って調べてみた

今回ディープリサーチの機能を使って収集したのはアドバンフィット株式会社の膝継手SPEXの情報です。具体的にはSPEX膝継手を使用した症例報告や臨床経過、SPEX膝継手の効果などを調べました。

膝継手SPEXの基本情報

SPEX膝継手

SPEX継手とは、膝の軽度屈曲と伸展補助機能がついた高性能継手です。任意の角度でロックでき、伸展制限にも対応可能です。初期接地時の軽度屈曲や遊脚初期の振り出し補助など、多用途に使える万能型。通常のロック・アンロックのみでも使えます。

伸展制限への対応はダイヤルロックの継手ほど、わかりやすい角度設定ではなく、本人の伸展制限を利用して伸展制限するイメージです。膝継手をこれ以上伸展させないように角度を設定するというイメージでしょうか。(間違ってたら教えてください)

任意の角度にSPEXをロックする場合は、バネではなくロッドに入れ替える必要があります。

参考:アドバンフィット社 SPEX膝継手

その他の長下肢装具にしようする膝継手や使用についてはこちらの記事で解説

評価用の装具について

SPEXを評価したいという場合、同じくアドバンフィット社が提供しているADアジャストKAFOが有効です。評価用の調整式長下肢装具として販売されている商品であり、左右兼用です。長下肢装具が有効なのか?とSPEXの有効性について評価したいという場合は導入を検討するのはいかがでしょうか。

評価用として使用される調整可能な長下肢装具は他にもありますが、個人的にはシンプルかつ堅牢な作りなので、好みです。

参考:アドバンフィット社 ADアジャストKAFO

その他調整用長下肢装具についての記事はこちら

今回使用したプロンプトの解説

# 指示
あなたは医療機器およびリハビリテーション分野の専門的な医学リサーチャーです。
アドバンフィット株式会社が製造する「SPEX膝継手(SPEX knee joint)」に関する学術的なエビデンスを、ディープリサーチ機能を用いて徹底的に調査し、網羅的なレポートを作成してください。
# 調査対象
1. SPEX膝継手を使用した症例報告や臨床経過
2. SPEX膝継手の効果(歩行能力の改善、筋活動の変化、関節角度の推移など)を測定・検証した学術論文
3. 本継手に関して発表された学会報告、技術論文、またはメーカーの公式な臨床データ
- 対象地域:日本国内および海外を問いません。英語圏の医学データベース(PubMed, Cochrane Library, PEDroなど)と、日本のデータベース(J-STAGE, CiNii, 医中誌Webなど)の両方を深く探索してください。
# 検索のヒント(クエリのバリエーション)
- 日本語:「SPEX膝継手」「アドバンフィット」「長下肢装具」「KAFO」「脳卒中 片麻痺」「脊髄損傷」
- 英語:"SPEX knee joint", "Advanfit", "KAFO", "knee-ankle-foot orthosis", "stroke", "hemiplegia", "gait analysis"
# 出力要件と優先順位
取得した情報は、必ず【エビデンスレベルが高いものから順に】階層化して報告してください。
1. 【高レベル】ランダム化比較試験(RCT)、非ランダム化比較試験、複数人を対象とした観察研究(コホート研究など)
2. 【中レベル】少数例のケースシリーズ、詳細な単一症例報告(Case report)
3. 【低レベル】学会抄録、専門家の意見、メーカー発表の基礎データ
各文献・報告について、以下のフォーマットでわかりやすく要約してください。
- 文献名(英語の場合は日本語訳も併記)と出典(著者、発行年、掲載誌)
- 対象者の属性(疾患名、重症度、人数など)
- 比較対象・介入方法(例:固定式継手との比較など)
- 測定された効果・結果(筋電図のデータや歩行速度など、具体的な定量的データを含める)
- 臨床的な結論
# 実行プロセスの要請
一度の検索で情報を網羅できない場合は、見つかった論文の「引用文献」を辿る、または日本語・英語の検索キーワードを複数回組み合わせて反復検索(Deep Research)を行い、可能な限り質の高いエビデンスを発掘してください。

まず明確な役割をAIに持たせることで調査の方向性を決定します。 

あとは、何を調べるのか、どのように出力するのかを指定しています。

調査結果には学術的なエビデンスが高いものを求めていたので、エビデンスレベルが高いものから順に並べさせています。日本・海外問わず調査を依頼しています。

ディープリサーチによる調査結果

調査結果から、SPEXは立脚初期の軽度屈曲を再現できるため、大腿四頭筋の出力向上に有効だというデータが見つかりました。

今回の調査結果に出てきた論文「Knee joint movement and muscle activity changes in stroke hemiplegic patients on continuous use of knee-ankle-foot orthosis with adjustable knee joint」によると、荷重応答期(Loading Response)から立脚中期にかけての内側広筋(Vastus medialis)の筋活動割合が有意に増加したと報告がありました。

他にも伸展補助装置と併用した例などが紹介されていました。

調査結果のPDFを添付しています。ご自由にチェックしてください。

興味深い事例1:SPEXと足継手の組み合わせ

長下肢装具における、SPEXと足継手の組み合わせですが、レポート内で興味深いものがあったので共有します。

「Effectiveness of a knee-ankle-foot orthosis with a knee extension aid in gait training for stroke patients」内で使用される長下肢装具の仕様が、SPEX膝継手およびダブルクレンザック足継手(背屈フリー、底屈スプリング制動)を備えたものでした。

使用された装具 Effectiveness of a knee-ankle-foot orthosis with a knee extension aid in gait training for stroke patients から引用

注目したのは足継手です。底屈スプリング制動と記載がありますが、これはおそらくK-215-0などの強バネが使用できるダブルクレンザック継手を使用していると推察されます。ただ、ゲイトジャッジを使用して角度などを計測しているので、強バネタイプではなく通常のバネが入るK-215-1かもしれませんが。いずれにしても底屈制動と併用をしていると確認できます。

SPEXによる立脚期の膝の軽度屈曲と、強バネでの足関節底屈制動で、より正常歩行に近い動きが長下肢装具使用時に可能になる仕様だと考察できます。SPEXと底屈制動の継手は併用している例があるというのは、大変参考になりました。GSなどでより細かい制動力の設定も視野に入れた仕様提案のヒントになりそうです。

底屈制動についてはこちらの記事でも

興味深い事例2:さらなる伸展補助との併用

同論文ではさらに、特殊な伸展補助装置をSPEX+底屈制動足継手と併用していました。遊脚終期における過剰な膝屈曲により、適切な踵接地(Heel strike)が困難な重度脳卒中患者に対して、SPEX膝継手と伸展補助具の併用が有効に働いたケースとして紹介されています。ICでの膝伸展が促進されることで、足部の「ヒールロッカー機能(Heel rocker function)」が回復し、エネルギー効率の高い歩行が可能となったそうです。

今世の中に出ている製品でこれを再現するなら、Kneemoとの併用でしょうか。長下肢装具とKneemoを併用している動画が公式サイトでアップされています。このあたりは個人的にも、今後導入方法を検証してみたいと思います。

参考: 松本義肢製作所 Kneemo

Kneemoについてはこちら記事でも解説しています。

応用編:他の装具にも使える汎用のプロンプト例

今回はSPEX膝継手を調査した例をあげましたが、他の継手や義肢装具の情報収集にもそのまま使用できるプロンプト(指示書)のテンプレートを制作しました。

このプロンプトでは、冒頭の「製品名」や「疾患名」を書き換えるだけで、国内外の論文データベースから情報を網羅し、エビデンスレベルが高い順に整理して出力してくれます。

ChatGPT(Deep Research機能)、Gemini、Perplexityなど、リサーチに特化したAIツールにそのまま貼り付けてご活用ください。

以下の変数設定を読み込み、後述の【指示】に従ってタスクを実行してください。

以下の変数設定を読み込み、後述の【指示】に従ってタスクを実行してください。

# 変数設定
- 製品名(日本語): [ここに製品名を入力 例:ゲイトソリューション]
- 製品名(英語): [ここに英語製品名を入力 例:Gait Solution]
- 継手名(日本語): [ここに継手名を入力 例:油圧式足継手]
- 継手名(英語): [ここに英語継手名を入力 例:hydraulic ankle joint]
- メーカー名(日/英): [ここにメーカー名を入力 例:パシフィックサプライ株式会社 / Pacific Supply]
- 関連装具・疾患名(日本語): [ここに検索用キーワードを入力 例:短下肢装具、AFO、脳卒中、片麻痺]
- 関連装具・疾患名(英語): [ここに検索用キーワードを入力 例:AFO, ankle-foot orthosis, stroke, hemiplegia]

---

# 指示
あなたは医療機器およびリハビリテーション分野の専門的な医学リサーチャーです。
「メーカー名」が製造する「製品名 継手名」に関する学術的なエビデンスを、ディープリサーチ機能を用いて徹底的に調査し、網羅的なレポートを作成してください。

# 調査対象
1. 当該「製品名 継手名」を使用した症例報告や臨床経過
2. 当該「製品名 継手名」の効果(歩行能力の改善、筋活動の変化、関節角度の推移など)を測定・検証した学術論文
3. 本継手に関して発表された学会報告、技術論文、またはメーカーの公式な臨床データ
- 対象地域:日本国内および海外を問いません。英語圏の医学データベース(PubMed, Cochrane Library, PEDroなど)と、日本のデータベース(J-STAGE, CiNii, 医中誌Webなど)の両方を深く探索してください。

# 検索のヒント(クエリのバリエーション)
変数の内容を活用し、以下の組み合わせで検索を展開してください。
- 日本語:「製品名」「継手名」「メーカー名」および「関連装具・疾患名(日本語)」の掛け合わせ
- 英語:"製品名(英語)", "継手名(英語)", "メーカー名(英語)" および「関連装具・疾患名(英語)」の掛け合わせ
※必要に応じて「gait analysis(歩行分析)」「kinematics(運動学)」などの関連用語も適宜追加してください。

# 出力要件と優先順位
取得した情報は、必ず【エビデンスレベルが高いものから順に】階層化して報告してください。

1. 【高レベル】ランダム化比較試験(RCT)、非ランダム化比較試験、複数人を対象とした観察研究(コホート研究など)
2. 【中レベル】少数例のケースシリーズ、詳細な単一症例報告(Case report)
3. 【低レベル】学会抄録、専門家の意見、メーカー発表の基礎データ

各文献・報告について、以下のフォーマットでわかりやすく要約してください。
- 文献名(英語の場合は日本語訳も併記)と出典(著者、発行年、掲載誌)
- 対象者の属性(疾患名、重症度、人数など)
- 比較対象・介入方法(例:固定式継手や他社製品との比較など)
- 測定された効果・結果(筋電図のデータや歩行速度など、具体的な定量的データを含める)
- 臨床的な結論

# 実行プロセスの要請
一度の検索で情報を網羅できない場合は、見つかった論文の「引用文献」を辿る、または日本語・英語の検索キーワードを複数回組み合わせて反復検索(Deep Research)を行い、可能な限り質の高いエビデンスを発掘してください。

💡 このプロンプトの特徴

・使い回しが簡単:冒頭の「変数設定」を書き換えるだけで、様々な継手や製品の調査にすぐ応用できます。 

・エビデンスレベル順に整理:RCT(ランダム化比較試験)から単一の症例報告、メーカーの基礎データまで、情報の信頼度が高い順に階層化して報告するよう指定しています。 ・国内外のデータベースを探索:PubMedやPEDroなどの英語圏データベースと、J-STAGEや医中誌などの国内データベースの両方を深く検索するよう設計されています。

📝 使い方(3ステップ)

ステップ1:下記の「プロンプトテンプレート」を一番下までコピーします。 ステップ2:プロンプト冒頭にある #変数設定 の [ここに〜を入力] の部分を、調べたい製品情報に書き換えます。 ステップ3:AIのチャット欄に貼り付けて送信します。

【重要】変数は全部埋めなくても大丈夫です! 分からない項目や指定しなくていい項目は、行ごと削除するか「不明」「なし」と記載して構いません。 極端な話、「製品名」と「継手名」だけ入力すれば、あとはAIが文脈を推測して幅広く検索してくれます。(※ただし、メーカー独自の製品名などは英語表記を入れておくと、海外論文の検索精度がグッと上がります)

製品名を[ゲイトソリューション]に変更して試しに検索してみてください。

注意:ハルシネーションに注意

AIは非常に優秀ですが、時折もっともらしい嘘を出力します。これは「ハルシネーション(Hallucination:幻覚)」と呼ばれる現象です。

存在しない論文をでっち上げたり、他の継手の特徴と混同して出力したりすることがあるため、AIがまとめた情報をそのまま鵜呑みにするのは絶対にNGです。 必ず、AIが提示した情報元(論文のリンクやメーカーの公式サイト)をご自身の目で確認し、ファクトチェックを行うようにしてください。

まとめ

・ニッチな義肢装具の情報収集には、AIのディープリサーチ機能が圧倒的に便利。 ・専用のプロンプトを使えば、国内外のデータベースからエビデンス順に情報を整理してくれる。 ・AIの出力にはハルシネーション(嘘)が混ざる可能性があるため、最終的なファクトチェックは必ず人間のプロが行うこと。

ITツールを賢く使いこなして情報収集の時間をショートカットし、空いた時間を日々の臨床や技術の研鑽に充てていきましょう!

タイトルとURLをコピーしました