こんにちは、イカPOです。
今回は 「下垂足」に対してどんな短下肢装具が“考えられる”か? を整理するための、私的メモを共有します。
下垂足では つま先の引っかかりや反張膝 といった歩行トラブルが起こりがち。ここで短下肢装具(AFO)の役割は、シンプルに言えば “底屈をどこまで制動/固定するか” です。
現場で装具を検討するときは、大まかに次のパターンで引き出しを開いています。
- まず迷ったら → オルトップ AFO と ゲイトソリューション(GS) で底屈制動を比較
- 屋内も歩きたい → オルトップ AFO + 滑り止め加工
- 屋外メイン&推進力が欲しい → ゴーオン または ウォークオン トリマブル
- 底屈制動をもっと強く → GS か ウォークオン リアクション
- 尖足拘縮・高緊張 → タマラック継手付きシューホン → さらに必要なら 金属支柱 AFO
本記事では、「下垂足の装具といえば?」でパッと思いつく5つの装具に加え、
「もう少し制動力を上げたい」時や「底屈の固定を変えたい」 ときのパターンも合わせて紹介していきます。
足継手の用語解説の記事はこちら
▼ 「下垂足」を想定した短下肢装具:まず思い浮かぶ 5 選
①オルトップ AFO シリーズ(パシフィックサプライ)

軽量コンパクトなプラスチック短下肢装具の定番。なかでも 「オルトップ AFO LH」 は制動力とサイズ感のバランスが優秀です。足底部カットラインは MP 関節遠位で、スニーカータイプの靴なら中敷きを外すだけで収まりやすいのが◎。標準で滑り止めがないため、屋内併用時は滑り止め加工がおすすめ(滑り止め加工の詳細は短下肢装具の屋内利用についてを参照)。
シリーズ解説記事:オルトップAFOを解説:3つのモデルの特徴
②ゴーオン(Ottobock 社)

前面支持式で踵と足底が解放されているため、靴へも収めやすい設計(ひも靴推奨)。足部遠位のストラップを締めれば室内でも利用可能です。ワイヤー状バネ鋼により 内外反は許容しつつ底屈背屈のみ制動 する造りがユニーク。左右兼用・サイズフリーでカバーは着脱して洗濯OK。
https://www.ottobock.com/ja-jp/product/28U70-61016
③プロフッター(中村ブレイス)

軟性素材を用いた AFO。鼻緒を母趾と示趾の間に通し、足部を背屈方向へ引き上げるシンプル構造で室内外いずれも使用可。装着時は足関節を 90°〜背屈位にしておく必要があります。
https://www.nakamura-brace.co.jp/product/ankle/665④ウォークオン シリーズ(トリマブル)

カーボン素材で撓みを推進力に変換する短下肢装具。靴との併用が前提なので屋内単独利用は不可(足部ベルトなし)。トリミングで制動強弱を調整できるのがメリット。
WalkOn Trimable 公式ページ (Ottobock)
https://www.ottobock.com/ja-jp/orthotic/lower/ankle/walkon_28u23
⑤フレキシブルシューホン

いわゆる シューホンブレイス。内外果トリミングが浅いデザインが特徴。プラスチックが内外果を覆わないトリミングのため、可撓性が高く、足の動きを阻害しない。柔軟性重視タイプ。
シューホンブレイスのトリミングについてはこちらの記事もどうぞ
▼ 底屈制動力が物足りない場合に検討したい装具
ゲイトソリューション シリーズ(パシフィックサプライ)
油圧シリンダで底屈を1〜4 レベルの無段階制動。プラスチック AFO や金属支柱 AFO に組み込み可能で、背屈誘導にも設定可。既製モデル「ゲイトソリューションデザイン」も存在します。
ゲイトソリューションについてはこちらの記事でも
ウォークオン リアクション

ウォークオンシリーズの高剛性モデル。前受け設計で下腿を預けられるため、底屈・背屈とも強力に制動。トリマブルで制動力が不足したケースで選択肢に。
http://ottobock.com/ja-jp/orthotic/lower/ankle/walkon_28u24
▼ さらに強く底屈を制動・固定したい場合
リジッドシューホン

シューホンブレイスのトリミングを深くし、撓みをほぼ排除して底屈背屈を実質固定。
タマラック/オクラホマ/ジレット(底屈固定・背屈遊動系)

底屈を完全固定しつつ背屈はフリーにする足継手。底屈は固定。背屈は遊動したいときに使用する。
金属支柱AFO(Wクレンザック)

両側支柱+ロッドにより最強クラスの固定力。TYストラップで内外反も制御や、靴や前開き足部覆いで屋内外、用途に合わせて制作することができる。インソール併用でアライメント調整も可能。最も調整幅と固定力を高く制作することができる。
▼ どんなときにどんな装具?装具を紹介するときの思考回路
“制動力 × 屋内外 × 内外反制御” の 3 軸でざっくり分類・比較しています。
| 分類 | 主な装具 | 想定シーン |
| 底屈制動力 弱め群 | オルトップ AFO(屋内併用)/ゴーオン(内外反気にしない)/ウォークオン トリマブル(屋外で推進力も欲しい) | 軽度〜中等度下垂足 |
| 底屈制動力 強め群 | ウォークオン リアクション(屋外専用・強制動)/ゲイトソリューション(背屈はフリー) | 反張膝・フットスラップが顕著 |
| 底屈固定群 | タマラック継手付きシューホン(内反は考慮外)/金属支柱 AFO(がっちり固定+アライメント調整) | 尖足拘縮・高緊張例 |
- 屋内利用あり → オルトップ AFO + 滑り止め加工が第一想定。
- 屋外メイン&しゃがみ動作多い → ゲイトソリューション。
- 屋外メイン&推進力重視 → ウォークオン系。
- 高緊張・尖足 → タマラック系 → さらに固定が必要なら金属支柱。
▼ まとめ
下垂足に対する短下肢装具は、足関節の底屈を“どの程度制動するか”が検討の出発点になります。
遊脚期のクリアランス確保や反張膝の防止など、歩行上の問題を踏まえて、装具の制動力・構造・使用環境(屋内外)をどう組み合わせるかを考える必要があります。
本記事では、私が現場でよく思い浮かべる
- 定番5装具(オルトップ・ゴーオン・プロフッター・ウォークオン・フレキシブルシューホン)
- 制動力をもう一段階上げたいときのオプション(GS・ウォークオンリアクションなど)
- 尖足拘縮など強い固定が必要な場合の選択肢(リジッドシューホン・タマラック・金属支柱AFOなど)
を整理しました。
今回の記事が、下垂足に対する装具選定を考える際の一助になれば幸いです。
現場での視点や工夫、考え方の参考になれば光栄です。
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