簡単仕様解説。短下肢装具の足関節内反尖足対策。

この記事では、内反尖足に対応する短下肢装具の仕様について紹介します。内反尖足には、内反に作用する仕様と尖足に作用する仕様に大別できます。足関節内反に対するTストラップやリングストラップ、尖足に対応する捕高や足押さえベルトなどの対策を詳しく解説します。

内反対策

T・Yストラップ

内反対策の代表的な方法として、T・Yストラップがあります。両側支柱の短下肢装具に使用され、Tストラップは内反用、Yストラップは外反用です。Tストラップは外果を支柱を起点に押し込むことで内反を矯正します。

内反の対抗策といえば、Tストラップというぐらいメジャーな仕様です。

リングストラップ

川村義肢のカタログから引用。リングストラップです。

リングストラップも両側支柱に使用する方法で、下腿部を内側支柱に押し込むことで内反を矯正します。ただし、Tストラップよりも矯正力が弱いと感じています。(個人的感想)

何かしらの理由で(制作時より痙性が強くなったなど)後から追加する際に導入することが多いです。

プラスチック短下肢装具の場合

プラスチック短下肢装具では、装具の内側からベルトを立ち上げる方法があります。通常、装具のベルトは外側に取り付けられていますが、内側に取り付けることで下腿を装具内側に押し付け、内反を矯正する効果が期待できます。

両側支柱とプラスチック短下肢装具の内反に対する力について

個人的な評価として、プラスチック短下肢装具は両側支柱に比べて内反矯正力が弱いと感じます。プラスチックは軽量ですが撓みやすく、両側支柱は重量がある分、強固です。屋内での使用や歩行量に応じて装具を選択する必要があります。

尖足対策

足押さえベルト


川村義肢のカタログから引用。足押えバンドです。

足押さえベルトは、足を上から押さえて尖足を防ぐ方法です。足部覆い型または靴型の足部が必要で、両側支柱短下肢装具に使用します。

補高

補高は、尖足を矯正するのではなく、浮き上がった踵の隙間を埋めて前足部の設置を解消します。健足にも補高を忘れずに行う必要があります。

靴底とインソールの補高

補高を靴底に行うかインソールで行うかの選択は重要です。1cm以上の補高は靴底で行い、それ以下の場合はインソールを使用することが推奨されます。1cm以上の補高をインソールで行うと、靴が浅くなる、または靴に入らないといったトラブルの原因となります。

まとめ

短下肢装具の内反および尖足対策には、Tストラップやリングストラップ、足押さえベルトや補高といった方法があります。これらの仕様を単独で使用するのではなく、Tストラップ+足押さえベルト+補高の3つを組み合わせて使用するケースも多々あります。

今回紹介した仕様は、長下肢装具にも導入できます。(長下肢装具をカットダウンして短下肢装具として使用するケースはよくありますよね。)

長下肢装具によく使う仕様解説は別の記事でも書いています。また参考にして頂けたら幸いでございます。

https://shoelab.jp/2024/07/85/%e7%b0%a1%e5%8d%98%e8%a7%a3%e8%aa%ac%ef%bc%81%e5%80%8b%e4%ba%ba%e7%9a%84%e3%81%ab%e3%82%88%e3%81%8f%e8%a3%bd%e4%bd%9c%e3%81%99%e3%82%8b%e9%95%b7%e4%b8%8b%e8%82%a2%e8%a3%85%e5%85%b7%e3%81%ae%e4%bb%95/

足継手に関する記事はこちら

https://shoelab.jp/2024/06/77/%e4%b8%8b%e8%82%a2%e8%a3%85%e5%85%b7%e3%81%ae%e8%b6%b3%e7%b6%99%e6%89%8b%ef%bc%9a%e5%9b%ba%e5%ae%9a%e3%83%bb%e9%81%8a%e5%8b%95%e3%83%bb%e5%88%b6%e9%99%90%e3%83%bb%e5%88%b6%e5%8b%95%e3%83%bb%e8%a3%9c/

それではまた。

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